Vol.10
Vol.10

従業員の退職理由と事業所の助成金受給への影響について

従業員が退職し失業手当を受給する場合、退職理由によって受給資格者と特定受給資格者の2つに分かれます

受給資格者とは、自己都合や定年退職で退職した人のことで雇用保険の加入期間だけで、失業保険の給付日数がきまります。(受給までに3ヶ月の給付制限があります。)

特定受給資格者とは、解雇や倒産などで、やむなく退職した人のことで雇用保険の加入期間と退職したときの年齢が考慮され、一般の離職者より失業保険の給付日数が優遇されています。(受給までの給付制限なし)

※  特定受給資格者のうち、下記のような正当な理由のある自己都合退職者の場合は、

特定理由離職者といいます。

@  体力の不足、心身の障害、疾病、負傷等により離職した者

A  妊娠、出産、育児等により離職し受給期間延長措置を受けた者

B  両親の死亡、もしくは両親の疾病、負傷より扶養・看護を必要とするために離職を余儀なくされた場合

C  配偶者または扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となった場合D結婚、育児、その他理由により通勤不可能または困難となった場合

 などがあります。

このように、退職した従業員が受給する失業手当の給付日数は退職時の状況、理由によって大きく変わる場合があります。そのため、退職後事業所と従業員の間で退職理由についてのトラブルが起きることがあります。

そのなかでも雇用契約により期間の定めのある従業員の退職においては、退職時の契約がどうであったかによって受給資格者、特定受給資格者、特定理由離職者全てに当てはまる可能性があるのです。

ここで期間の定めのある雇用契約の雇止めと失業保険の受給資格の関係を説明します。

ポイントとしては、契約更新時に更新の有無について話をしたか?

通算の雇用期間が3年以上がどうか?

従業員から契約更新の希望があったかどうか?

と、なります。 上記のポイントを踏まえて、

雇用期間が3年以上の場合

●直近の契約更新時に、今回の契約更新が最後であると通知した

従業員からの契約更新の希望あり⇒契約期間満了による離職 ⇒ 特定受給資格者

従業員からの契約更新の希望なし⇒契約期間満了による離職 ⇒ 受給資格者

●直近の契約更新時に、今回の契約更新が最後であると通知していない

会社からの申出で契約更新しない⇒会社都合(解雇)による離職⇒特定受給資格者

従業員からの申出で契約更新しない⇒自己都合による離職  ⇒ 受給資格者

雇用期間が3年未満の場合

●直近の契約更新時に、今回の契約更新が最後であると通知をした

契約期間満了による離職 ⇒ 受給資格者

●直近の契約更新時に、今回の契約更新が最後であると通知をしていない

○契約更新の明示があった(更新する確約があった)

従業員からの契約更新の希望あり⇒ 契約期間満了による離職 ⇒ 特定受給資格者

従業員からの契約更新の希望なし⇒ 契約期間満了による離職 ⇒ 受給資格者

○契約更新の明示がなかった(更新する確約がなかった)

従業員からの契約更新の希望あり⇒ 契約期間満了による離職 ⇒ 特定理由離職者

従業員からの契約更新の希望なし⇒ 契約期間満了による離職 ⇒ 受給資格者

このように、契約期間満了といってもその内容により離職した従業員が受給する失業保険の給付が大きく変わることがありますので、離職時には注意が必要です。

また、事業所にとっても特定受給資格者となる離職理由による離職者が、被保険者の6%を超えていると(6%を超えていても3人以下である場合は除く)雇入れに係る助成金(特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用助成金、若年者等正規雇用特別奨励金、既卒者奨励金等)がもらえなくなります。

また、この数字を超えていなくても、解雇・退職勧奨による離職者が1人でもいる場合はこれらの助成金はもらえなくなりますので注意が必要です。


「正社員並みパート」拡大求め報告書 厚労省の研究会

  厚生労働省の「今後のパートタイム労働対策に関する研究会」は15日、パートタイム労働法で、賃金や処遇について正社員との差別が禁止される「正社員並みパート」について、適用範囲を拡大するよう求める報告書をまとめました。対象者を増やして、パートの処遇改善を進めるのが狙いということです。

 9月末から、労使などが参加する労働政策審議会が報告書をもとに議論を開始し、来年の法改正を目指すとのことですが、ただ、処遇向上は人件費増を招くため、使用者側の反対が予想されます。

 2007年のパートタイム労働法の前回改正では、(1)正社員と仕事の内容が同じ(2)転勤や配置転換もある(3)雇用期間の定めがない、という3要件を満たす正社員並みパートについては、賃金や教育訓練などあらゆる待遇の正社員との差別を禁じる条文が盛り込まれていましたが、当てはまるパートの割合(10年)は0.1%にとどまっていました。

 報告書では対象者を広げるため、法律に3要件を示すのはやめ、「合理的な理由なく不利益な取り扱いをしてはならない」とだけ定め、正社員並みとしない「合理的な理由」として考慮する事柄をガイドラインで示す方法を挙げました

 どちらの企業も法的な理論はご理解いただいているはずなのですが、なかなか今の経済状況では労働者の待遇までは改善できる状況には至っていません。今の苦しい事態を打開すべく、力を合わせて問題を解決させていきたいものです。

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