文書作成日:2025/11/27
労働者数が増え50人以上になると、企業(事業場)として実施が求められる事項が出てきます。以下ではその内容と、労働者の定義や労働者数のカウント方法を確認します。
労働安全衛生法では、常時使用する労働者数が50人以上の事業場に対して、衛生管理者の選任・報告など、様々な対応を義務付けています。その内容を確認する前に、様々な用語の定義を確認しておきます。
労働安全衛生法の対象となる「労働者」とは、原則、労働基準法と同じ「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」とされています。そして、「常時使用する」とは、企業の通常の状況により判断するとされており、臨時的に雇い入れた場合や欠員を生じた場合は、労働者数に変動が生じたものとして取り扱う必要はないものの、パートタイマー・アルバイトであっても臨時的な雇い入れでなければ、常時使用する労働者数に含める必要があるとされています。
これを押さえた上で、労働者数が50人以上の事業場に対して義務付けられている事項は、以下の5点です。ここでは全業種が適用されるものを取り上げています。
- 衛生管理者の選任・報告
- 衛生委員会の開催
- 産業医の選任・報告
- ストレスチェックの実施・報告
- 定期健康診断結果報告書の提出
この社会保険の適用についても、企業規模要件が順次、縮小・撤廃されることが決まっており、2027年10月に労働者数36人以上、2029年10月に労働者数21人以上、2032年10月に労働者数11人以上、2035年10月に10人以下の企業に適用されます。
こちらは、労働者数50人以上の企業ではありませんが、補足情報としてとり上げます。現在、民間企業の障害者の法定雇用率は2.5%であり、常時雇用する労働者数40.0人以上の企業で障害者を雇用する義務があります。この常時雇用する労働者とは、原則として、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者であって、1年を超えて雇用される人(見込みを含む)をいいます。計算方法は、1週間の所定労働時間が30時間以上の労働者については1人としてカウントし、20時間以上30時間未満の労働者については1人を0.5人としてカウントします。
また、2026年7月より、法定雇用率が2.7%に引き上げられることから、常時雇用する労働者数37.5人以上の企業で障害者を雇用する義務が発生することになります。
人材の積極採用などにより、労働者数が増えている企業(事業場)では、各事項について対象となるタイミングを確認し、見通しを立てておくとよいでしょう。
■参考リンク
東京労働局「総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医のあらまし」
厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
厚生労働省「障害者雇用対策」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
- 労働関係諸法令の今後1年間の改正動向2025/09/25
- 注目を集める年金制度改正法2025/07/24
- 2025年度に注目したい雇用関連助成金2025/05/22
- 従業員が入社する際に行うべき法的手続きとその留意点2025/03/27
- 1月から電子申請が義務化された労働安全衛生関係の手続き2025/01/23
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