Vol.19
Vol.19

従業員のインターネットによる情報漏えい、会社批判について

●  社員による業務上で使用する個人情報データが入ったノートパソコンを紛失してしまった場合は、どうすべきか? 

 顧客の個人情報が第三者に見られる可能性がある場合は、速やかに顧客にれんらくすることが、第一です。個人情報の保護に関する法律についてのガイドラインでは、個人情報を紛失してしまった場合には、次のような対処を講じることが望ましいとされています。

@    事実調査、原因の究明

A    影響範囲の特定

B    再発防止策の検討・実施

C    影響を受ける可能性のある本人への連絡

D    関係各所への報告

E    事実関係、再発防止策等の公表

本人への連絡は、二次被害を防止する為に必要とされるものです。特に、クレジットカード情報などの信用情報や、プライバシーに関わる情報が第三者に見られる可能性がある場合には、速やかに連絡をして二次被害の発生を防止する対策を講じることが重要となります。

ただし、次の場合のように、本人の権利が侵害される恐れがほとんどないと考えられるときは、連絡を行わなくてもよいと考えられます。

@     第三者に見られることなく、速やかに回収した場合

A     高度な暗号等が施されている場合

B     事業者が保有する他の情報と照合しなければ特定の個人を識別することが出来ない場合

 ●従業員が、業務時間内外を問わずツイッターを利用している。自分の携帯を使って行っているようだか、会社での自分の業務に関わることを頻繁につぶやき、上司のことや同僚との会話の中身、社内ミーティングの内容、取引先との交渉の状況や取引先の担当者に関することをつぶやいたりしている。会社はこのような従業員のツイッター利用を禁止できるか? 

 業務時間内にツイッターを利用することを禁止することは可能です。また、たとえ業務時間外であっても、会社や取引先の内部情報や業務にかかわる事項、会社や取引先の信用等にかかわる事項などについて、ツイッターでつぶやくことを禁止することは可能です。

従業員は会社に対し、会社との労働契約に基づき、職務専念義務や守秘義務を負っていることから、これらの義務に違反すると考えられる従業員の行為について、会社は禁止することが出来ます。

●  従業員がブログ会社を誹謗中傷する書き込みを行っている場合、会社としてはどう対応すべきか? 

何の根拠も無く会社を誹謗中傷する書き込みを行っている場合には、就業規則に基づき懲戒処分することが可能です。また、ブログについては、問題となる箇所を指摘してその箇所を削除させることが必要です。

会社は原則として、従業員の私的行為について、規制したり懲戒処分したりすることはできません。

しかし、労働者は労働契約に付随する義務として、使用者に不当な損害を与えないようにすべき忠実義務を負っており、たとえ、勤務時間外や会社外での行為であっても、使用者の名誉や信用を毀損したり、不当に損害を与える行為をしてはなりません。

ただし、その行為が公共の利害に関する事実に関わり、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認められる場合は、真実であることの証明があったとき、又は真実であると信ずるに相当の理由があるときは、懲戒処分が無効となる場合があります。

 会社としては、事実関係の調査・確認、および本人へのヒアリングを行った上で、懲戒処分の可否を検討することが必要となります。

 なお、問題となるブログについては、後に紛争となった際に証拠となるものが必要となりますので、必ず紙面にプリントアウトしておくか、電磁的に保管しておくことが必要です。



 国交省・厚労省  建設業の社会保険加入徹底を促す 

 国土交通、厚生労働の両省は建設業者に対し、従業員の社会保険への加入徹底を促すことになりました。11月に建設業の許可・更新時や抜き打ち検査で保険加入状況を確認する制度を導入するとのことで、改善しない場合、営業停止など処分の対象とするとのことです。

 国交省の調査によると、建設労働者の2割が雇用保険、4割が健康保険や厚生年金に加入おらず、ピークの1992年には84兆円あった建設投資が半減し、受注競争が激しくなっているようで、発注主からの価格引き下げ圧力に応じるために、下請け業者の間では社会保険料を削る傾向が強まっているということです。

 111日からは、国交省や都道府県に対する建設業の許可・更新の申請時に、保険加入状況を記した書面が必要になり、未加入業者は指導し、改善しない場合は厚労省の地方労働局や年金事務所に通報するとのことです。労働局などの立ち入り検査を拒否し続けると、数日間の営業停止や強制加入措置の対象となるようです。

 元請けのゼネコンに対する指導も強化するようで、下請けや孫請け企業の加入状況を確認し、発注額の見積もり段階から、社会保険料を必要経費として盛り込むよう求めるとのことです。2017年度以降は未加入企業を下請け企業に選ばず、加入が確認できない作業員は現場に入れない状況を目指すようです。この目標に向けて加入がうまく進まない場合は、法改正なども検討するとのことです。
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