■年次有給休暇とは
年次有給休暇は、就業規則等で定められた本来の休日以外に取得することができる有給の休日・休暇です。
使用者は、雇用する労働者に対し、所定休日以外に年間一定日数以上の「休暇」を与えなければなりません。そしてその休暇となった日について一定の賃金を支払うことが義務付けられています。この規定に違反して休暇を与えない使用者は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。
■年次有給休暇が付与される労働者
1.継続勤務が要件となります。
・勤務開始の日から6か月間継続して勤務していること
・全労働日の8割以上出勤した労働者
2.短時間労働者、パートタイマー等の場合
期間雇用者、臨時、パートタイマーなどの短時間労働者は、年次有給休暇
の対象とならないと誤解されるていることがあります。6か月間継続勤務、
出勤率8割以上の要件を満たせば、短時間労働者であっても、年次有給休暇
を付与しなければなりません。
■年次有給休暇が付与される日数算定
勤務開始の日から6か月間継続して勤務し、さらに1年間、8割以上継続出勤するごとに有給休暇は10労働日に加えて勤続2年6箇月目まで1労働日ずつ加算して付与され、勤続3年6箇月目からは2労働日ずつ加算して付与されます。
勤続6年6箇月経過時には20労働日に達し、以降は1年間の継続勤務ごとに20日を付与していく計算になります。
■一般の労働者に対する付与日数
一般の労働者に与えなければならない年次有給休暇の日数は、次の通りです。
継続勤務日数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年 |
法定最低付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
■所定労働日数の少ない労働者に対する付与日数
短時間労働者に与えなければならない年次有給休暇の日数は、次の通りです。
週所定労働時間が30時間未満で、なおかつ週所定労働日数が4日以下の従業員には所定労働日数に応じて日数を与えなければなりません。
週の所定 | 年間所定 | 勤続年数 | ||||||
労働日数 | 労働日数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年 |
5日 | 217日以上 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
4日 | 169〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
■年次有給休暇の有効期限
年次有給休暇を取る権利は、権利が発生した日から2年間有効です。権利が発生した日から2年以内に使わないと、時効により消滅します。
有給休暇権は順次時効により消滅してしまうので、前年度からの繰越分の休暇権を持つ社員から出された年次有給休暇の申請については、本人から明確な申出がなくとも前年度分の休暇使用として取り扱うべきです。
■年5日の有給休暇の確実な取得
対象は年次有給休暇が10日以上付与される労働者です。
使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内 に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。
使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。
また、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。
既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。
使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。
休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項(労働基準法第89条)であるため、使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。
以上に違反した場合には罰則が科されることがあります。