〇トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント
昨今、貨物輸送等の運送会社への労働局、陸運局等の立入検査が増えて来ています。理由は、平成24年4月に発生した高速バス居眠り運転事故の事故後に国土交通省が立入検査を実施した結果、以下の様々な法令違反が発覚し、今後の事故再発を防ぐための対応として、運送会社を監督するためと思われます。
- 無認可での車庫の新設、廃止
- 営業区域外での旅客の運送
- 一般貸切旅客自動車運送事業の名義貸し
- 休憩所・仮眠所の変更無届
- 不適切な乗務記録
- 運行指示書の無作成・記載不備
- 日雇労働者を運転者にした
- 乗務員台帳の記載不備
- 運転者の過労防止措置の不十分
特に労働基準監督署が運送会社を調査する場合は、過労防止のため、労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に記載されている拘束時間、休息期間等について調査をする例がほとんどです。
では、労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」とはどんなものか、以下に抜粋して記載しますので、ご参考にしていただければ幸いです。
☆1日(始業時刻から起算して24時間をいいます。)の拘束時間は13時間以内を基本とし、これを延長する場合であっても16時間が限度です。ただし、制限があります。
☆1箇月の拘束時間は原則として293時間が限度です。
ただし、毎月の拘束時間の限度を定める書面による労使協定を締結した場合には、1年のうち6箇月までは、1年間の拘束時間が3,516時間(293時間×12箇月)を超えない範囲内において、1箇月の拘束時間を320時間まで延長することができます。
☆1日の休息期間は継続8時間以上必要です。
☆1日の運転時間は2日平均で9時間が限度です。
☆1週間の運転時間は2週間ごとの平均で44時間が限度です。
☆連続運転時間は4時間が限度です。
以上のような様々な基準があります。
ガソリン代の高騰など運送会社にとっては厳しい時代ですが、地域産業を支える重要な仕事ですので、今後ますます仕事量と賃金などの、働き方のバランスを考慮した仕組みをつくりあげる必要があるでしょう。