Vol.24
Vol.24

                              60歳を超えた労働者の雇用について

とある企業で、60歳を超えており本人も希望しないからと、週20時間以上労働する者を雇用保険にいれていない状況についてご相談を受けました。

状況としては、過去数年間そのようなケースは雇用保険に加入させていないが、新しく採用した方が、雇用保険に加入したいと申し出てきたが加入させるべきかという内容でした。

法律的な見解では、週20時間以上労働し、31日を超える雇用見込みがあれば雇用保険に加入させなくてはなりません。また、過去の方々についても、本人が希望しないからと、雇用保険に加入させていない状況はとても危険です。 

なぜなら、60歳以前に5年以上勤務していた実績があり、定年を迎えたあとに退職し、その後ある程度早い段階で転職してきた場合、継続給付の受給権が残っているケースが考えられますし、もしかしたら再就職手当も受給できたかもしれません。また、1年以上勤務した後で再び離職するケースでは、失業給付の受給もできなくなります。そのようなケースで、本人が会社を退職する際や、同じような境遇の友人からのアドバイスで、権利を放棄させられたと気付いたら、会社としてはどのように対応できるでしょうか?法律的に加入すべき状況であれば、本人が希望するかどうかは別として、きちんとした説明をすべきだと責められたら回答に困ることになるでしょう。

このように、継続給付や再就職手当等の権利を放棄させている状況を放置しておくのは、企業としてリスクを負うことになります。採用と同時に加入させるべき者は加入させるか、もしくは週20時間未満の労働条件で雇用することをおすすめします。

国保の運営、都道府県に移管へ 市町村格差を改善


消費増税に伴う社会保障の改革を話し合う政府の社会保障国民会議は4月22日、国民健康保険(国保)の運営を市町村から都道府県に移すことが大筋で一致しました。高齢化による財政悪化や地域格差の広がりを改善するねらいで、移管の環境を整えるため国が国保に財政支援する案が有力です。8月の報告書に盛り込む見通しとのことです。

国保は公的な医療保険制度の一つで、職を持たない人やパートなど非正規雇用の人、自営業者ら約3500万人が加入しており、企業の健康保険組合などに比べ、高齢者の割合が高く医療費がかさむ一方、保険料を払えない人も少なくありません。実質的に年3千億円程度の赤字になっており、財政が苦しい市町村で保険料は高くなりがちで、国保間の格差は最大で4倍を超えている現状があります。

国民会議では複数の委員が、運営主体を都道府県に移し、地域の実情に合った医療を提供する計画も作らせることを提案しまして、実現に向けて議論を進めることを確認しました。全国知事会も前向きに検討するとのことです。

田村厚生労働相は23日の閣議後の記者会見で、年金生活者や自営業者らが入る国民健康保険(国保)の運営を市町村から都道府県に移す案を検討する方針を示しました。そのうえで「(保険者が都道府県に代わることで)保険料の徴収率が落ちる可能性がある」と課題を指摘しました。現在は市町村が保険料を徴収しています。地域格差を無くすという名目は非常に大事な命題ではありますが、肝心の運営がずさんになっては元も子もありません。しっかりとした組織作りが求められると思います。
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