Vol.15
Vol.15

 東日本大震災から1年が過ぎ、全国でも防災の意識が強まってきました。また、企業でも大地震に備えるという観点から、いずれ起こるであろうこの地域の大地震に対し、今回の東日本大震災が残したデータからいかに復旧するかという対策を進めています。事業を再開して、社会の使命を実現するための計画を準備し、社会活動を維持していく企業内のルール作りを就業規則に取り入れることが急速に増えてきました。そこで参考資料と規定の一部を紹介します。

  独立行政法人防災科学研究所の地震調査研究推進本部、地震ハザードステーションJ-SHIS(http://www.j-shis.bosai.go.jp/)によると、刈谷市周辺で震度6弱以上の地震が30年以内に発生する確率は62.1%、安城では92.3%、知立では82.9%とされています。その被害として刈谷市の場合、津波の到着時間は、60分から70分、高さも2メートル強と渥美半島を接する地域ほどではありませんが、私たちの地域はむしろ、建物崩壊や火災の被害が特に気をつけなくてはなりません。

  地震によって崩壊はなくとも揺れによる電気、ガス水道の停止、会社内の備品の落下、破損も想定されます。電気は電柱の倒壊、架空線の断線など1週間の復旧期間が想定されます。刈谷市では13,000世帯が停電し(停電率16.3%)、水道は復旧にはかなり遅く、1カ月の復旧期間が要すると想定されています。都市ガスでは1カ月、LPガスでは1〜2週間、電話は1〜2週間となっています。道路、鉄道も約1カ月程度との予測です。

 そんな中、ある企業調査で大規模災害における企業活動維持、再開の策定の回答は策定済みが29.5%、策定中が28.8%、策定してないが40.7%となっています。逆に取引先への関心は86.9%がその必要性を考えているとのことです。部品供給の寸断は記憶に新しいところです。このように、震災と企業活動の再開・継続対策は必要とされています。

 企業での取り組みを大きく捉えると…

@ 被害の想定 人的被害 建物 電気 水道 ガス 通信システムで最大どのくらいの復旧が予想されるかを考え実施。

A 組織内の体制構築、初期では役割分担 情報、救護、避難誘導、消火。復旧では復旧状況の広報、建物、ユーティリティシステム、人事、取引先(部品調達など)倉庫、運搬 財務などの責任者・担当者を構築。

 特にこの社内ルールを規定に盛り込む企業が急増しています。上記のほか、社員の家族への安否確認の携帯電話のメールサービス、ツイッターの訓練や帰宅ルール、帰宅困難者の対応、近隣社会からの避難場所の提供の確認または受け入れを明文化していくことになります。そして、訓練の実施を定期的に行うことです。規定としては以下が参考になります。

(目 的)

 この規程は、大規模災害に遭遇した場合における緊急時対応に係る措置及び従業員の安全を確保するとともに事業の円滑な継続を図るために必要な事前対策等(以下「災害対策」という。)について、定めるものである。

(大規模災害の定義)

 この規程における大規模災害とは、次のとおりとする。

(1) 震度5強(状況に応じて震度5弱とする。)以上の地震及びこれに連動する津波災害

(2) 事業所の大半が破壊、消失するなど事業継続に支障をきたすおそれがある台風、竜巻、津波、噴火、土石流等の災害

(3) その他、事業所の大半が破壊、消失するなど事業継続に支障をきたすおそれがある災害

(災害への備え)

 会社は、災害発生に備えて、次の備品を常備し、点検、更新するものとする。社員は、この規程その他災害に関するマニュアルに基づいて、その備品の備え付け場所及びその使用方法を心得ておかなければならない。

(1) 非常食品 @ パン A 缶詰 B 水

(2) 携帯ラジオ、予備電池 (3) 懐中電灯、予備電池

(4) 軍手 (5) ヘルメット (6) 緊急時従業員名簿

(避難場所)

 災害時における避難場所は、次の各号に掲げるとおりとする。ただし、避難場所が、危険性が高いと避難誘導責任者が判断した場合は、他の避難場所を指定する。

(1) 本社…A公園

連絡方法:B事業所(TEL 00-0000-0000)を中継事業所とする

 このようにいざという時に、いち早く復旧を実現できる規定を作っていきましょう。


  年収94万円、45万人に パート年金民主案決定

民主党は3月13日に、パートなど非正規労働者の厚生年金と健康保険の加入条件の緩和を決めました@労働時間が週20時間以上、A年収94万円以上、B勤務先は従業員500人超、C勤続1年以上のすべてを満たすのが新たな条件で、学生アルバイトは除くとのことです。仮に実施されれば、対象者は45万人になる見通しで2016年4月の実施を目指すとのことで、さらに3年以内に対象を拡大することを厚生年金法改正案に盛り込むとのことです。

 

 加入条件の緩和は、収入の低い非正規労働者が厚生年金に入りやすくするのが目的で、厚生労働省は当初、労働時間が正社員の「4分の3(週30時間)以上」という現行の条件を「週20時間以上」に緩和し、370万人規模の新規加入を実現することを目指していました。しかし、厚生年金の保険料の半分を負担する企業側が反発し、100万人規模に縮小する案も検討されましたがパートを多く雇う外食、流通業界などは納得せず、調整が難航していました。


 上にあります加入条件は、一般的な中小企業にはほとんど関係ないと言えるような要件ですので、すぐにこの条件が私たちに影響を及ぼすことはないと思われますが、ゆくゆくは加入条件が中小企業にも該当するような程度にまで変更されていくのは、さほど先の話でもないのかも知れません。
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