Vol.14
Vol.14

労働者の義務について


 一般的に労働者の権利は、労働基準法などの法律で保護されており、このためトラブルの際には圧倒的に使用者が不利益を被る確率が高いといえるでしょう。さらに近年は、一部の人のみと思いますが、とても大人のすることとは思えないような行動をとる方がいるのも現実です。このようなトラブルを未然に防ぐには、現実的にトラブルへの対応ができるように就業規則を見直しておく必要があるでしょう。そもそも労働者にはさまざまな権利が認められていますが、これは同時にさまざまな義務を負っているということです。
労働者の義務には・・・


@労働を提供する義務、A誠実に勤務する義務、
B使用者の業務命令に従う義務
 があります。


さらに、Aの誠実に勤務する義務の中には、


C職務専念義務、D業務を促進する義務、E忠実に労働する義務
が含まれます。


他にある義務は・・・


F使用者の人事権に従う義務、G職場の規律を維持する義務、
Hセクハラ・パワハラ防止義務
、I使用者の名誉・信用を毀損しない義務、
J使用者の秘密を守る義務、K競業避止義務
 などを負っています。


 しかし、これらの義務を負っていることを明確に就業規則に盛り込み、なおかつ労働者への周知をしっかりとおこなわない限り、法律で保護された労働者の権利に勝つことは難しいでしょう。まずは就業規則をしっかりと見直し、その後、現在在籍中の労働者への説明会などを開催し、就業規則の周知を徹底することをおすすめします。


 さらに、新入社員が入社してきた際には、会社の規則に関する研修をおこない、かつ役員や管理者の規則に関する知識向上をしっかりとおこなわなければ、本当に意味のあるものにはならないでしょう。

 
○トラブルを未然に防ぐポイントとして、具体的にはどこを見直せば良いか


@まずは、採用時の提出書類を増やしましょう。
A提出書類に身元保証書や誓約書を記載しましょう。
B試用期間で契約を更新しない場合の条件などを記載しましょう。
C服務規律の条項を増やしましょう。
Dパワハラ・セクハラ・飲酒運転の条項を設けましょう。
E機密保持規定を設けましょう。
F業務引継に関する条項を設けましょう。

 
特に服務規律の条項は大切です。就業規則に、どのくらいの項目設定がなされてますでしょうか?一般的な規則では、20項目程度ですが、これでは少なすぎます。最低でも40〜50項目は規定しておきましょう。


 さらに最近では、厚生労働省のワーキンググループがパワーハラスメントを六つの類型化し報告書をまとめました。この報告書では、これまでの上司から部下に対するものだけではなく、部下から上司に対するいじめや嫌がらせも含めるべきと提案しています。


 また、パワハラにあたるかどうかは、企業や職場ごとに範囲を明確にすることが望ましいとしています。この点からも就業規則の見直しと充実が現代の企業においては必要不可欠といえるでしょう。



大学生就職内定率 71.9% 過去2番目/国民年金、2年前納で割引 厚労省方針

 
今春卒業予定の大学生の就職内定率(昨年12月1日現在)は71.9%で前年より少し上回りましたがそれでも過去2番目に低い水準とのことです。先月号で述べた65歳まで再雇用義務化への流れも同様に「超高齢社会」を迎えるにあたって企業側も新卒学生を受け容れる体力は依然として低いままのようです。


地域別に見ますと、関東が75.4%と最も高く(前年比+3.3)、続いて近畿が71.9%(+0.9)、中部が70.3%となり(+8.6)、東日本大震災で大きな被害を受けた北海道・東北は69.5%と前の年より0.4%下がりました。厚生労働省は、「求人数は増加傾向にあるものの、今後は円高などの影響で再び状況が悪化するおそれがある」として、学生の就職相談に応じるハローワークの職員を増やしたり、中小企業などを集めた就職面接会を開催したりして、支援を強化することにしています。


 話は変わりまして、厚生労働省は2月6日、国民年金保険料の前納制度について、新たに2年分を前払いすれば割引率がより高くなる仕組みを導入する方針を固め、同日の社会保障審議会年金部会に示しました。2年前納制度の導入は、低落傾向にある保険料の納付率に歯止めをかけるのが狙いとのこと。現行では1年、6カ月の前納が認められており、最大で2.1%が割り引かれていますが、2年分の前納は4.0%まで引き上げるそうです。


 以前から国民年金保険料の納付率の低さ(約6割)が問題となっていますが、この制度が少しでも納付率が上昇するきっかけになればいいと思いますがいかがでしょうか。

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