Vol.13
Vol.13

今後実施される可能性の高い年金改正は? 

 連日ニュースや新聞等で年金改正についての情報が報道されています。これからも現在の年金制度を維持していく為には、@年金保険料支払者の増加、A年金支給額の減額、B年金支給時期の引上げを行うしかないと思われます。この中で今後実施される可能性の高い年金改正についてご説明いたします。

 

受給資格期間の短縮

 現在の制度では年金を受給するためには25年の資格期間(3号期間、カラ期間等含む)が必要となり、この期間に1ヵ月でも足らなければ年金は1円ももらえなくなってしまいます。これ10年前後に短縮し、加入期間の短い人も年金をもらえるようにするものです。

 せっかく支払った厚生年金保険料を掛け捨てにしないためにも実行するべきだと思います。

 ただし、期間に応じてもらえる年金額も少なくなるため、あくまで10年は目安と考え従来どおり保険料を支払う必要があります。

 

短時間労働者の厚生年金拡大

 厚生年金に加入するかどうかは正社員か非正規労働者かの区別ではなく、労働時間の長さで判断します。現在は一週間の労働時間が、正社員の4分の3以上勤務しているかどうかが判断基準ですが、これを「週20時間以上勤務しているかどうか」というようにもっと厳格にしようというものです。こうなると、多くの人が厚生年金に加入することになります。本人・会社の保険料負担増となり反発も予想されますが、加入者の立場からすれば、加入した分将来の年金額が増えますので決して無駄にはなりません。第3号被保険者制度の見直しも併せて、国の年金財源確保の為にも改正が必要となります。
 

デフレ時の年金減額見送り分の減額

  年金支給額を減らす試みとしての項目が、この年金減額見送り分の減額です。原則として物価が上下動すれば年金額も上下動するのですが、過去デフレしていても年金額を引き下げていなかった分が約2.5%あり、累積7兆円の払い過ぎがあるといわれています。これを回収することは困難ですが、その代わりに将来について年金額を減額しようとするものです。これは段階的に実施されると思われます。


低年金者への加算

  年金額があまりにも少ない者に対して一定の加算を行おうというのがこの改正です。地域や世帯の状況によっては生活保護を下回る年金になることが指摘されており、あまりにも年金額が低い者については一定の加算をしようとするものです。

  ただし、どういう人がどの程度加算されるか議論が十分でなく、今後の詳細に注目が集まります。 


高所得者の年金生活者の年金減額

  給与を受けている高所得者については在職老齢年金という仕組みで、すでに年金額を減額しているのですが、他の所得で年収のある年金生活者は減額する仕組みがありません。生活に問題の無い高所得者について年金給付額の一部を減額する(あるいは増税する)仕組みが検討されています。

 

産休期間の保険料免除

  もともと育児休業期間は免除対象(会社分も本人分も国が保険料を払ったことにしてくれる)なのですが、産休期間は対象に含まれていません。

  育児休業期間に比べれば産休期間は短いかもしれませんが、子育てにかかる国民の年金保険料負担を軽減し、子供を育てやすい環境を作るとともに将来の年金額を増やす取組みは実施すべきだと思われます。

  その他にも専業主婦の年金制度見直し(第3号被保険者制度)にかかわる運用3号問題、年金の受給開始年齢の引上げ、在職老齢年金制度の見直し等ありますが、まだまだ多くの議論の余地が残っており早期の実現は難しいと思われます。




65歳までの再雇用義務化、厚労省審議会が報告書


  年金の支給開始年齢引き上げに伴う雇用確保策を検討していた厚生労働省の労働政策審議会は12月28日、原則65歳まで、働きたい人全員の雇用を企業に義務づけるとする報告書をまとめました。人件費増を懸念する企業側が難色を示していたため、導入に経過措置を設けることなどを盛り込み、平成24年の通常国会で高年齢者雇用安定法(高齢法)の改正を目指すとのことです。 

 現在の高齢法は、60〜65歳の雇用について企業に(1)定年引き上げ(2)定年廃止(3)継続雇用(再雇用)制度の導入、のいずれかを義務付けています。企業の8割が再雇用制度を採っていますが、全員が働き続けられるわけではなく、希望しても再雇用されない人が毎年6000〜9000人いると言われ、高齢法に労使協定で基準を決めれば企業が再雇用の対象者を限定できる規定があるためです。

 会社員が加入する厚生年金の支給開始年齢は、2013年度に男性が61歳となり、その後も3年ごとに1歳ずつ上がり25年度に65歳になります。定年から年金が出るまでの空白期間をなくすため、再雇用の対象者を限定できる規定は撤廃するとのことです。これにより再雇用先の対象も広げ、グループの子会社同士で再雇用者を受け入れたり、親会社の人を関連会社で再雇用したりすることも認めるそうです。

 年金支給の年齢が引き上げられる訳ですから60歳定年である場合、再雇用を義務化するのはある意味、必然性を感じるものではあります。ただこれにより学生の就職内定率に影響を及ぼすことも必然でしょう。来月にはそこに触れたいと思います。


 雇用保険 料率1.0%に引き下げへ

 厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会の雇用保険部会は、失業手当に充てる雇用保険の料率を平成24年度は賃金の1%とし、23年度から0・2ポイント引き下げるべきだとの報告書をまとめました。保険料と国庫負担が収入源ですが、積立金残高が高水準なため、保険料を下げて労使負担を軽減すべきだとしました。

 厚労省の告示などを経て、政府は来年4月から保険料率を引き下げるということで、労使の負担は計3千億円程度軽くなり、賃金が月30万円の労働者の場合、保険料の支払いは月300円程度減る見通しです。

 報告書によると、雇用保険積立金は23年度末に4兆3千億円程度となる見込みで、たとえ失業手当が急増するなどの事態が起きても、引き下げた料率で対応可能と判断しました。

 一方、事業主が負担する雇用保険2事業については、雇用調整助成金などへの支出が高水準で、支出が収入を上回る状態が続いています。報告書は「不要不急な事業の廃止など、厳しい見直しを徹底する必要がある」と指摘しました。

 また正式な決定、報告があり次第、別紙にてご連絡致しますのでよろしくお願いします。

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