Vol.11
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入社時の秘密保持に関する誓約書および身元保証書について

 ここ数年、企業からの情報漏えいに関する報道を多く目にするようになりました。USBメモリーなど大容量のストレージの普及によって従来よりも深刻な情報漏えい事件が増加しており、企業としては社員に対し、その防止に向けた教育やルールの徹底、就業規則への記載等の対応が求められていますし、当事務所にて就業規則の改定・見直しをおこなう際にも、話題にのぼる事項です。

そこで、社員との間で取り交わす秘密保持に関する誓約書を取り上げたいと思います。入社時に使用する誓約書ですが、秘密情報の範囲とその帰属、退職後の守秘義務、情報漏えい時の損害賠償といった事項について記載するのが一般的ですが、実際には、御社の取り扱う秘密情報等に応じて、モレのない書類作成をする必要があるでしょう。

なお、後述の身元保証書には保証期間がありますが、誓約書にはそのような有効期間を定める必要がありません。また、職種にもよりますが、入社時には十分な守秘義務研修を行った上で、誓約書を取り交わしておくことが肝要です。

さらに、従業員が入社の際に提出してもらう書類の中で、比較的一般的なものの1つが身元保証書です。これは従業員が何らかの損害を会社に与えた際、身元保証人が連帯して損害額を賠償するという契約書になります。なお保証人の資格として、従業員とは別に独立した生計を営む者とするといった定めを就業規則で行うことも多くみられます。

身元保証書を作成する際に注意が必要な項目は、以下の2点です。

☆期間について
 身元保証契約の期間は、保証書に期間の定めがない場合は成立の日より3年間になります。最長の定めは5年であり、仮に5年を超える期間を定めた場合、5年に短縮になります。また、自動更新の条項は認められていませんので、仮に自動更新条項を入れた場合にはその自動更新の条項については無効となります。従って、正確に運用を行うのであれば、最低でも5年に1回、身元保証書の契約の更新手続が必要となります。

☆対象従業員の業務変更時の通知について
 人事担当から経理担当への変更のように従業員の担当業務に大幅の変動があったような場合は、身元保証人にその内容を通知する必要があります。これは担当業務の変更により、その賠償責任を負うリスクが高まることがあるためです。

また、保証人を変更する必要がでてきた場合には、改めて身元保証書を提出してもらうか、別途身元保証人変更届を作成しておきましょう。さらに新保証人については、本人の職務内容を改めて通知すると共に、会社案内を送付するなど、企業からの何らかの行動を取ることにより、スムーズな書類提出を促すことができるでしょう。

 今回取り上げました秘密保持に関する誓約書および身元保証書は情報漏えいに対してのセキュリティ対策の一環であると考えております。現代において情報というものは非常に重要でありながら、手軽に扱えるようになってきました。その手軽さが業務を円滑かつ迅速にまわしている理由でもあるわけですが、その反面、情報を漏らしてしまったり、悪用された場合、情報の重さによっては企業にとって死活問題となりかねないほどの意味を持ってきてしまっています。

  まだパソコン等の端末で情報を管理している場合は厳重にロックを掛けるなどの対応を考えることが出来ますが、人の口に戸を立てることは出来るものではありません。従業員には企業にとって情報がいかに重要で、なおかつ漏らしてはいけないものかという意図を周知徹底させる意味が誓約書と身元保証書を取ることには十二分にあると思います。



要件緩和に賛否、年金、健保の非正規加入で 社会保障審議会

 社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の特別部会は10月13日、パートなど非正規労働者への社会保険の適用拡大について関係団体からヒアリングを行い、部会は厚生年金や健康保険への労働時間に関する加入要件を現行の「週30時間以上」から「週20時間以上」へ緩和する案を検討していますが、事業主団体が反対、労働組合が賛成の立場からそれぞれ意見を述べました。

 社団法人日本フードサービス協会の加藤一隆専務理事は「外食産業は働く88.4%がパートであって、要件緩和で新たに約100万人が社会保険に加入することになり、上場企業でも保険料負担が増えて経営が困難になる」と述べ、加入要件の緩和に反対する考えを表明しました。

 一方、小売り・流通業の140組合が加盟する日本サービス・流通労働組合連合の石黒生子事務局長は「企業で基幹的な労働者になっているパートに労働時間だけで社会保険を適用しないのは差別だ」と、賛成の立場から意見を述べたとのことです。

 先日から厚生年金の受給年齢が68歳からになるという議論に対して様々な意見が飛び交っていますが、あまりにも法整備がお粗末で一体どうなっていくのか皆さんが不安に思っていることと思います。いろいろなメディアで語られていることですが、どうしても65歳から68歳までの3年間を、どうやって食べていくのか、全くと言っていいほど伝わってこない間にますます社会保険料が企業、家庭を圧迫してしまっている今の状況から、より丁寧な整備がなされることを願って止みません。 


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